2012年8月25日土曜日

筒井康隆著「旅のラゴス」を読んだ。濃厚傑作一人旅小説。

 1986年刊行の筒井康隆のSF小説。文庫本で約220頁。主人公ラゴスの50年に渡る旅行記。
 初めて読んだが傑作であることは間違いない。文章が必要十分な情報のみから構成され、余計な説明や描画がない、とても濃厚な小説である。これまで読んできた小説が国語の教科書だとすれば、この小説は数学の論文と思わせるレベルのドライで引き締まった文章である。
 また、SF小説に分類されているが、サバイバル、冒険、旅、人類史、など様々な要素が詰まっている。強いて言うならば「旅に人生をかける男の小説」という感じか。一人旅の経験者には迷わず推薦できる。
 筒井康隆の小説をよく読んだのは高校生時代で最後に読んだ「パプリカ」以来の約20年ぶりだったが、こんな本に遅ればせながら出会えてラッキーだったと思う。他の本も読みなおして見よう。

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