2012年6月15日金曜日

スポイルされないこと

縁があって今日は中学高校時代の同級生と卒業以来26年ぶりに会い食事をしてきた。私の人生の中でもこれだけ長いあいだ連絡も取っていなかった人と会うことは初めてのことであり、なにか書いておこうと思う。
 彼も私も6年間寮生活をしていた。全寮制の学校ではなく実家が学校まで遠い生徒だけが寮に入って、文字通り寝食を共にする生活だった。学校はスパルタ式教育などと呼ばれていた厳格な校風であり、学校生活も寮生活も当時としてもかなり尋常ではない厳しい(軍隊の時代にタイムトリップしたような)環境で育てられていた。誰でも1年に数回は先生や先輩に殴られていたし、そのようなことは日常生活の一部だった。ただ今にして考えると学校や寮の先生達は第二次世界大戦を直接経験した世代であり、我々生徒たちは戦時中の日本人が持っていたある種の美意識を教育されていたのかもしれない。
 6年間の途中で増えたり減ったりしたが寮の同級生は全部で15名ほどであり、多感な時代だから馬鹿なことも相当やったし趣味のことでお互いに影響を与え合っていたが、内心では1日も早く寮からも学校からも離れたいとおそらく全員が考えていただろう。(Jimi Hendrixの演奏が有名な)Bob Dylanの名曲All Along the Watchtowerの始まりが"There must be some kind of way out of here."だったが、まさにそういう心境で無限に続くかのような長い日々を送っていた。だから同級生たちは同じ戦場で戦った者同士のような結束感を持つと同時に、思い出したくない過去を背負わされていたんだと思う。
 そのような寮や学校での生活の中で得たことは人それぞれ違うだろうが、久しぶりに悪友とあって改めて認識したのは結局「けっして誰にも社会にも自分はスポイルされない」という信念を持って卒業したということである。長く生きれば当然山あり谷ありではあるが、そういうコアな部分は忘れないようにしたいと思う今日の夜でした。

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